サンマLoveStory
「月給200万」
「え?」
「雇ってやってもいい」
「ただし、お前のことは俺が全て管理させてもらう」
いきなり隣に座った男に、こう言われたのが始まり。
・・・
都会に秋がきてコンクリートを撫でた風は一段と冷たく感じた。
愛する人に嘘をつかれ続けた。人に疲れ続けた。
彼が教えてくれた人気のないバー
来るわけないのに。
彼が教えてくれたお酒を飲みながら彼の事ばかり考えていた。仕事もまったく身につかず、名ばかりの友達と彼氏の優劣の探り合い。連絡がくると何もかも投げ出して会いに行った。
私にはなんにもない。
私を愛してくれる人も友達も仕事もお金も。
今までの生き方がそうさせたのは明白だけど。
「不倫だったうえに仕事もクビか・・・」
カランと氷が崩れる。
手に残るコップの水滴。
明日からどうやって生きていこう
・・・
「なに考えてるんだ?」
「あ・・・」
(PONの心の声→なぜ赤パンツ・・・悔やむ)
「明日のスケジュールは?秘書さん?」
「全部手配済みです。社長」
「いい子だ」
あの日、この人が私を拾った。救った。
綺麗な部屋と服、欲しいものは何でも手に入った。
最初は戸惑いがあったけれど、彼に感謝している。
彼の望むことは何でも受け入れた。
彼はサンマイシューノでは有名な飲食店の経営者だ。
あのバーも彼が所有していた。
とても頭が良くて身のこなしも綺麗で、私にはうまく説明できないけれど、
時には薄情にみえるけれど、本当にとても自分勝手だけど、
・・・優しい人。
彼の仕事の手伝いは大変だったけれど、やりがいを感じた。
「よくやった」
褒められることが嬉しかった。
だから彼が望むことは何でも受け入れる。
気づけば数年が経っていた。
気付いたら彼を愛していた。
「アヴァ、今度な、大きな仕事がある。」
「それでな、お前に頼みたいことがあるんだ。」
・・・・・・・・彼が望むなら何でも受け入れる。