サンマ(3)
彼はいつもと変わらない。
「なぁ」
「なんでクリスマスツリー飾り付けないんだ?」
「ん~・・・・・いいんです、このままで」
「まぁいいけどな・・・じゃあまた後で明日の予定送っておいて」
「はい・・・」
「?」
「明日・・・明日、打ち合わせの後に飲みに行きませんか?」
「あぁ、わかった」
・・・・・・・・・
私は昔、ここにいた時の私じゃない。と、思っているし、そうありたいと思っている。
「どうした?なにか俺に話があるんだろう?」
「ロボさんに一緒に仕事をしないかと言われました」
「秘書として、、、あとプライベートでも世話をしてほしいと。」
「つまり、そうゆうことだな?」
「はい」
「俺に言う時点でお前の気持ちはもう決まっているんだろう?」
「・・・」
「いい話じゃないか!」
「うちにはいつまでいてくれるんだ?」
「今年いっぱいは・・・」
「じゃあ、それまでよろしく頼む。うちも安泰だ。よくやってくれた!」
「・・・ありがとうございます」
私は結局、クリスマスに綺麗に飾られたモミの木だ。
本当の姿は誰も気づかない。誰も愛さない。
私は部屋を出た。
彼の匂いのする部屋。甘くて、
彼の好きなコーヒー。苦くて、
彼の好きな音楽。愛しい。
「・・・どこに行ったんだ・・・」