それから(3)
どんどん彼女のお腹は大きくなった。
体調が悪く、動けない日もあったりして、そんな日は口喧嘩してしまう。
「ダメだよマコアくん、大きな声だしちゃ」
・・・!
彼女の「ダメだよ」に本当に弱い。
あぁごめん、とお腹を撫でる。
ふと、ナニがリリアナのお腹にいた時の事を思い出したり、かき消したり。
いやそれは違うと思ったり…
「・・・ナニちゃんが生まれた時、嬉しかった?」
「・・・・あぁ」
あぁもちろんだ。嬉しかった。今だってナニは宝物だ。リリアナにも感謝しかない。
「全部」
「?」
「全部、私は抱きしめる」
「母は強し、だよ」
そう言って笑った。
「どうぞー♪」
「わぁっ!」
そーっとそーっと・・・
「わあぁっ♪」
「動いたぁ♪」
「お姉ちゃんと早く遊びたいねー♪」
「早く出ておいでー♪」
彼女は幸せそうにしている。
妊娠中に海に入るのは心配だけど、私人魚だよ?って笑いながら海へと入っていく。
まぁそうなんだけど、やっぱり心配になるだろ。
「マーコーアーくーん♪」
「ん?」
「また見てるフフッ」
「当たり前だ。体冷えるからそろそろ帰ってきて。お風呂いれてるから。」
「パパは心配性でちゅねー♪」
「/////(ムッ!)」
「ごめんごめん、あがるね、ありがとう」
「ほら、大丈夫か?」
「大丈夫、元気に動いてるよ」
「本当だ」
「俺って分かるのかもな!」
「・・・・・そだねフフッ」
「俺、産休とるから。」
「ダメだよ、せっかくウミガメが帰ってきたのに。今が一番大事な時でしょ」
「それは俺も同じ。」
俺と彼女との間に生まれる子。どんな顔しているんだろうな。どんな子なんだろうな。
あれ…人魚なのか?!
まぁなんでも。人間だろうと人魚だろうと魚だろうと。
君ごとギュッと抱きしめるよ。