MAKOA(6)
「もう、お祭り戻らないといけないね」
「そうだな」
「明日は会える?」
「明日は仕事のあとに祭りの片付けがあるから、、、」
「そっか、そうだよね。」
この村ごと裏切ったような気分だ。いや、その覚悟でここに来たつもりだった。
俺は彼女を選んだのに。「来るよ。」が言えない。
何を守っているのか。何が欲しいのか。何を失うのか。
不意にでた「ごめん。」に彼女は泣き出した。
「言わないで。そんな顔しないで。」
「っ見てるだけで良かったのに。」
「あの日、目が合って触れて、一緒にいれただけで嬉しかったのに。」
「もっともっとなんて望んじゃいけないのに。」
「会ってくれる優しさに甘えて、私は欲張りだ。」
「違う・・・・っ」
欲張りは俺だ。
彼女も家族も村の信頼も、、、何も失いたくなかった。
ずっと何も求めなかった彼女。辛くないわけがないのに。優しさに甘えていたのは俺だ。
そう何もかも。
俺が悪い。全部。