2019-08-31から1日間の記事一覧

MAKOA(13)

あたりを駆け回った。絶対に近くにいると思った。 あたりが明るくなり始めたころ。 滝の前で彼女を見つけた。やっと会えた。本当にやっと。 ゆっくり近づいて手を握る。 「マコアくん?なんでここにいるの?」 「ダメだよ」 「ちゃんとお家帰って。リリアナ…

MAKOA(12)

何時間経ったのだろうか。 もうすぐ夜が明けそうだ。また1日が始まる。 何もしたくなかった。何も考えられなかった。 考えないようにしていたことが、不安となって押し寄せてきていた。 そんな時、ピィーッと声がして体を大きく揺さぶられた。 ・・・イルカ…

MAKOA(11)

ただ過ぎる日々。今日も彼女に続く海へ出る。 いつものように海に浮かんだゴミを集めていると見覚えのあるものを見つけた。 あの日のランタン・・・!! 慌てて拾って陸へと戻った。間違いない。俺の字だ。 空にかざすとあかりが灯り、彼女が書いたことも見…

MAKOA(10)

今日も会えない。明日も会えないのか。いつ会えるのだろう。 このまま一生会えないのかもな、いや、絶対に探し出す。 今までの時間をひとつひとつ全部忘れたくなくて、でも確実に薄れていく彼女の記憶をつなぎとめていたい。 「なぁ、水に入る時は靴は脱ぐも…

MAKOA(9)

あの日から、彼女とは会えない。いくら待とうと、いくら思おうと。 家にも帰っていないらしい。彼女の友達は俺が彼女のことを聞いた時に驚いた顔をしていた。そりゃそうだよな。リリアナが自慢げに時期村長よ、と紹介した男が訪ねてきたんだから。 リリアナ…

MAKOA(8)

真夜中になり、いらいらした気持ちと持ちきれないほど沢山の感情をどうすることもできず海沿いを歩いていた。 電話だ。彼女からだった。 「いつもの海で。」 「お願いがあります・・・」 村の正装で来てほしい。 なんでだ?どうして? 聞こうか、いや、走っ…

MAKOA(7)

あの日以来、なんとなく会えないでいた。 祭りの片付けの後、連絡したけれど、 「昨日、みんな慣れないカヴァを飲みすぎちゃって今大変で・・・」 とか、「今みんなで出かけてて、とか。」 みんな、か。そうだよな。俺は「みんな」には会えないからな。 その…

MAKOA(6)

「もう、お祭り戻らないといけないね」 「そうだな」 「明日は会える?」 「明日は仕事のあとに祭りの片付けがあるから、、、」 「そっか、そうだよね。」 この村ごと裏切ったような気分だ。いや、その覚悟でここに来たつもりだった。 俺は彼女を選んだのに…

MAKOA(5)

彼女は友達と家を借りている。 友達?友達も人魚なのか?と聞くと違うという。どうやって友達になったんだ? 彼女は不思議だ。 友達には人魚だってことをバレないように海にはいらないようにしていたそうだが、どうしても水を飲むだけじゃ水分が足りなくなっ…